生活の質を向上する介護。認知症の症状を改善する介護。

認知症の症状別介護

徘徊と退行

  • 見当識障がいと、過去に戻っている場合が考えられる
  • 体調不調や環境不適応の可能性は?
  • 否定したり、抑制や抑止したりしないで、一緒に行動する(過去に同行する)

徘徊や退行、帰宅願望が見られたら

 自宅や入所している施設を出て、あてもなく歩き回るような行為を「徘徊」といいます。
家族が自宅の周辺をいくら探しても見つからず、思いもしないくらい遠くまで行ってしまい、警察に保護されたという例もあるので、家族にとってはとても心配なものです。

周りからすると「あてもなく」ということになるのですが、本人にとっては、目的地や理由があっての行動であると考えられています。

見当識障がいによるものと、

 また徘徊には大きく分けて2種類あるともいわれています。
 ひとつは、見当識障がいによるものです。
これは、買い物をしようと家を出たのに、行こうとしていたお店や、自宅への帰り道を忘れてしまい、帰れなくなってしまうというようなケースです。このようなケースは、厳密には徘徊とはいえないかもしれません。

もうひとつは、本人が認識している現実が実際と異なっている場合です。
自宅に居るにもかかわらず「家に帰る」といって外に出て行こうとするようなケースです。
このような時、よくよく聞いてみると、本人が言っている家が、子どもの頃の家や、若い頃住んでいた家を指しているというようなことがあります。
 これは、本人の意識の中では、現実の世界から過去に戻ってしまった状態だと考えられます。
このような症状が、認知症になると「子どもに帰る」とか「退行症状が現れる」といわれる原因のひとつになっています。

しかし、戻っている過去は必ずしも子ども時代とは限らず、仕事に熱中していた時期や、子育てをしていた時代等さまざまなようです。
本人がそれまでの人生で最も輝いていた時代に戻っているということがよくいわれます。

また、施設に入所している人が「家に帰る」と言って騒ぐことを、「帰宅願望」ということがあります。
これは単に施設から家に帰りたいと訴えているのではなく、現実を正しく認識できていないことが原因である場合もあると思われます。
 いずれも、家を出て行こうとした時に、言葉で制止したり、強引に引き止めたり、あるいは部屋に閉じ込めるというような物理的な拘束は、逆効果に終わることが多いようです。