生活の質を向上する介護。認知症の症状を改善する介護。

ケアコラム

高齢者の胃ろう

 近年介護の世界で、「胃ろう」という言葉がよく聞かれるようになった。
胃ろうは胃にあけた穴にカテーテルを通し、そこから栄養を送り込む方法である。
 神経疾患等で嚥下ができない、脳血管疾患や認知症で自発的に摂食できない、誤嚥性肺炎を繰り返す等の場合に、充分な栄養補給をおこなうための方法の一つである。
ペグ(PEG:percutaneous endoscopic gastrostomyの略/経皮内視鏡的胃瘻造設術)といわれることもある。
 9月16日付産経ニュース『ゆうゆうLife』に、施設介護における胃ろうに関する記事が掲載された。
 口から食べられなくなったとき、胃に直接、管で栄養を入れる「胃ろう(PEG)」。
栄養摂取が容易になる一方で、高齢で意思確認ができず、予後が期待できない患者にも胃ろうが作られるケースもある。
終末期に向かう治療として、胃ろうは適切なのか。
家族や特別養護老人ホーム(特養)の関係者らから疑問の声が上がっている。
<2010年9月16日産経ニュース『ゆうゆうLife』>
 一般的に、胃ろうは鼻から胃にチューブを通して栄養補給する方法(経管栄養・経鼻栄養)と比べて、投与や洗浄等の管理が簡単で、QOL が改善されるといわれている。
 しかし、本人の意思とはかかわりなく、介護の大変さを避けるために比較的簡単に胃ろうの造設を勧められることもあるようだ。
 胃ろうの人は全国に約30万人いるともいわれる。
低栄養の改善をはじめ、誤嚥(ごえん)性肺炎を避けるためや「在宅でも管理が簡単だから」と退院に向けて勧められるケースもある。(中略)
看護師で全国高齢者ケア協会の鎌田ケイ子理事長は「老衰の過程で食べる量が減り、全身が弱るのは自然なことで、そういう人は胃ろうの対象ではない。介護現場では胃ろうに依存せず、手と時間をかけて“枯れていく大往生”を実現するケアに転換すべき。(略)」
<2010年9月16日産経ニュース『ゆうゆうLife』>
 「食べることだけが楽しみ」という高齢者は多い。
 ここでいう「食べる」は口から食べることを指しており、経管栄養や胃ろうによる栄養補給を指しているわけではないことは明らかだ。
 一度胃ろうにしても、口から食べることは可能であり、胃ろうから完全に経口摂取に戻したという例もある。
 口から食べる食事と、その他の栄養補給法では、本人のQOLには大きな差があるはずであり、可能な限り口から食べることを前提とすることが質の高い介護においてはとても重要なことだといえるだろう。
食べることだけが楽しみという高齢者は多い

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