生活の質を向上する介護。認知症の症状を改善する介護。

高齢者についての基礎知識

高齢者介護における誤解

寝たきりを助長する介護

 しかし、安静状態を保つことが必要な人が対象の看護分野における方法を、介護の世界にそのまま持ち込んでしまったために、多くの弊害が生まれました。
前述したような、手術後におこなわれるような看護や介護は、安静を保つことを前提にしています。
患者さんが若年の場合は、安静を保つ必要がなくなると、元通りの生活に戻っていくのが普通です。
ところが、高齢の人の場合は、簡単には元には戻りません。
そのため寝たきりのままで、それまでと同じ介護を続けることが多かったのです。
しかし、このような介護は、寝たきりの状態を続けることを前提にしています。

 寝たきりの状態から抜け出すことができるかどうかは、医療やリハビリテーションによって身体機能の障がいを改善しなければ無理だと考えられてきました。
しかし、これらの方法には限界があり、結果的に、寝たきりのままで介護を続けざるを得ない状況が続いてきました。
このような介護は、やむを得ないことであり、必要かつ正しい方法だと信じられてきました。
ところが、近年多くの研究者によって、廃用症候群(生活不活発病ということもあります)に関する研究が公表されるにつれ、寝たきりの生活を続けることと、寝たきりを前提にした介護そのものが、寝たきり状態を助長することがわかってきたのです。

正しい知識で自立を支援する

 今まで当然だと思われてきた誤解をなくし、介護に関する正しい知識を理解し、高齢者の自立を促す介護をおこなうことで、介護の質は上がり、介護が必要な高齢者の生活の質(QOL)を向上させることにつながります。

これからの高齢者介護においては、次の2つのことが大きなポイントになると考えられます。
  1. 廃用症候群を予防し、できるだけ活動的な生活を送る
  2. 活動的な生活ができるように、体調を適切な状態に整える
この2点を基本として、自立を支援するための介護について具体的に理解することが重要だと考えられます。