生活の質を向上する介護。認知症の症状を改善する介護。

ケアコラム

前頭側頭葉変性性認知症(FTLD型認知症)

 レビー小体型認知症とともに、前頭側頭葉変性性認知症よく目にするようになったのが「前頭側頭葉変性性認知症(FTLD《frontotemporal lobar degeneration》型認知症)」だ。
 最近では、アルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型と併せて、4大認知症といわれることもある。
 2010年9月13日配信のダイヤモンド・オンラインに、「行動や性格の変化がサイン 前頭側頭葉変性症の認知症」と題する次のような記事があった。
 血管性、アルツハイマー型がもの忘れから発症するのに対し、前頭側頭葉変性症では、万引き、無銭飲食などの反社会的行為や同じ行動、言葉を繰り返す常同症、1日中なにもせず寝ている意欲低下など、人格や行動の変化が先行して表れる。記憶や方向感覚は比較的正常なので、認知症とは気づかずに発見が遅れるケースが少なくない。むしろ異常な行動が目立ち、早期ではうつ病や統合失調症と誤診される可能性が高い。(中略)
 発症原因はまだ解明されていないが、一説ではストレスホルモンが脳神経細胞を破壊すると考えられている。現時点では、抗うつ薬や興奮を静める薬で症状をコントロールするしかない。ただ最近の研究で一般に使われている抗うつ薬に、脳神経細胞の再生、成長を促す神経栄養因子の増加作用があることがわかってきた。適切な投薬とリハビリを受けることができれば、異常な行動と認知機能の改善も期待できるかもしれない。
<2010年9月13日 ダイヤモンド・オンラインより>
 また、2010年11月18日の医療介護CBニュースには、熊本大学の研究グループの研究報告として、以下のような記事が掲載されていた。
 非アルツハイマー型のFTLDは、人格変化や行動障害が主症状。他人の意見を聞き入れない「わが道を行く行動」やルーチンワークに固執する「常同行動」が早期から特徴的にみられ、マナーを守るといった社会性が著しく失われるケースも多い。(中略)
 研究グループは「FTLD患者は、自らの経験にとらわれ、架空の状況を想定することができない傾向がある」と分析。前頭葉の一部分が未来を想像する働きにかかわるという知見との関連性なども指摘した上で、「自己本位な行動や常同行動といった症状は、この傾向のため、周囲の状況変化に柔軟に対応できないことが影響していると考えられる」としている。
<2010年11月18日 医療介護CBニュースより>
 このような特徴的な症状が現れるのは、前頭葉の機能が低下することが主な原因らしい。「認知症 専門医が語る診断・治療・ケア」(池田学著・岩波新書)を引用する。
 前頭葉は、脳の後方部から入ってくる外界や体内の情報に基づく反射的あるいは本能的な衝動を抑制し理性的にふるまったり、他人の気持ちを推し量ったり、ものごとを計画・実行したり、ものごとに対する興味や関心を維持したりする機能などをつかさどる場所です。前頭側頭型認知症では、この前頭葉の機能が低下し、さまざまな精神症状や行動障害が出現します。
<認知症 専門医が語る診断・治療・ケア」(池田学著・岩波新書)より>
 同書には、「病識の欠如、無関心・意欲の低下、常同行動、反社会的な行動や抑制のはずれた行動、食行動異常、注意散漫等が特徴的な症状としてあげられている。認知症また、常同行動を遮ると突然興奮して暴力を振るう、診察や介護の現場で何の断りもなくその場から立ち去ってしまう「立ち去り行動」があること」等が記載されている。
 レビー小体型認知症と同様、前頭側頭葉変性性認知症も原因は不明で、有効な治療法が確立されていない。他の病気と間違われることが多いのも共通している。
 基本的な認知症ケアを前提にしつつ、今後も研究が進むであろう認知症の種類やその特徴等、介護に役立つ知識についての情報収集をおこなっていく必要がありそうだ。