生活の質を向上する介護。認知症の症状を改善する介護。

ケアコラム

薬剤師が地域包括ケア病棟に常駐する効果

【社会福祉法人ワゲン福祉会 総合相模更生病院薬剤部部長 稲葉健二郎】
この記事は2017年2月17日に「CBnewsマネジメント」で掲載したものです。

はじめに

 総合相模更生病院(神奈川県相模原市、225床)は、外科、内科、産婦人科、整形外科などを中心に急性期医療を提供すると共に、地域の“かかりつけ”病院としての役割も担っている。
退院後も継続して受診する高齢の患者も多く、法人内の居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション、特別養護老人ホーム等で対応することもある。
このような環境の下、当院では2014年5月に44床を地域包括ケア病棟に転換した。
 地域包括ケア病棟の制度開始から3年が経とうとしているが、必要とされる薬剤業務について不明確な点も多い。
今回、当院のこれまでの取り組みを基に、地域包括ケア病棟における薬剤師の必要性とその業務内容を紹介する。

地域包括ケア病棟における薬剤師の必要性

 地域包括ケア病棟の施設基準には、薬剤師の病棟配置は含まれない。
さらに、病棟薬剤業務実施加算、薬剤管理指導料、薬剤総合評価調整加算も算定できない。
診療報酬だけを見た場合、一般病棟で薬剤師が行う病棟薬剤業務※1、直接服薬指導、服薬支援、その他薬学的管理指導(医薬品の適正使用と副作用防止による患者安全向上に資する業務)、不適切な多剤併用の見直し※2などは不要という意味に取られかねないが、果たしてそうだろうか。
 地域包括ケア病棟への転換に伴い実施した薬剤師に期待する業務についての調査と薬剤師業務のデータから、薬剤師配置の必要性を考えてみたい。
※1医療従事者の負担軽減および薬物治療の有効性、安全性の向上に資する業務
※2多剤併用による効果・副作用を評価することで、医薬品の適正使用と副作用防止による患者安全向上及び医療費削減に資する業務
 2014年5月、地域包括ケア病棟にかかわる医師(5人)と看護師(17人)に薬剤師に期待する業務についてアンケート調査を行った。
その結果、負担軽減と医療の質向上の視点において、薬剤師の常駐が「とても必要」との回答が医師、看護師共に80%を超え、「どちらかといえば必要」を加えると100%となった。
 また、薬剤師に期待する業務を調査した結果をグラフ1に示した。

表1 薬剤師に期待する業務調査表


グラフ1 薬剤師に期待する業務調査結果(複数回答可)(医師5人、看護師17人)


 医師が期待する業務として、入院前の薬物治療に関する患者情報(服薬環境も含む)の収集をはじめ、退院後の環境に適した服薬管理法などの患者教育や処方提案、退院前カンファレンスへの参加、病棟スタッフの教育が多かった。
 看護師が期待する内容は、退院後の環境に適した患者教育や処方提案、退院前カンファレンスへの参加であった。
 以上の結果から、地域包括ケア病棟においても、薬剤師が常駐して患者指導を担当し、患者情報の収集と伝達、処方設計等を行うことを、医師、看護師共に強く望んでいることが明らかとなった。
これを受けて、当院では薬剤師を常駐させることとなった。
決定には、これまでの病棟業務が評価されたことも大きかった。
 薬剤師の業務時間についても、地域包括ケア病棟の転換前と後で比較した=表2=。
病棟業務と薬剤管理指導は、転換の前後で変化はみられなかった。
病棟での主な業務についても、持参薬に関する業務が減少し、処方支援に関する業務が増加したが、全体的な業務件数に差はみられなかった。
このような結果からも、継続的に薬剤師を常駐させる必要性が高いと評価されている。

表2 地域包括ケア病棟への転換による薬剤師業務時間の変化


 チーム医療を通じ、各職種の負担を軽減し、医療の質を向上させる取り組みが注目されているが、当院では、地域包括ケア病棟においても急性期病棟同様の病棟薬剤業務、服薬管理指導業務を実施しており、退院後の薬物治療の質を向上させるためにも必要不可欠となっている。

地域包括ケア病棟担当薬剤師の業務

 地域包括ケア病棟の担当薬剤師の目的と役割を説明する=図2=。
 当院では、地域包括ケア病棟に薬剤師1人が常駐し、一般急性期病棟と同様に病棟薬剤業務や薬剤管理指導を行っている。
常駐は「退院後の在宅での薬物治療の質向上への貢献」を主な目的にしている。

図2 地域包括ケア病棟担当薬剤師の目的と役割


(1)入院時
 入院時には、全患者に対し、入院前の自宅環境や服薬管理状況、退院予定先の調査等を実施している(「急性期病院(病棟)・在宅での服薬状況・服薬環境の把握」)。
情報を得ることで、退院後の患者を取り巻く環境を推察し、退院後に予想される在宅での薬物治療に関する問題点を抽出し、解決につなげる。
また、退院までの間に解決可能な患者の達成目標とプランを作成し、計画的な薬学的介入を目指している(「予定入院期間を考慮した達成目標とプランの設定」)。

(2)入院中
 「薬剤管理指導による患者・家族教育」を行い、服薬コンプライアンスの向上と薬剤の安全な使用を目指している。
また「患者状態や自宅環境に適した処方提案」を実施し、多剤併用の改善と用法の簡素化による副作用の防止と患者家族の負担軽減に取り組んでいる。

(3)退院時
 「退院前カンファレンス等による在宅スタッフとの連携」を通じ、在宅でのより良い薬物治療を行うために薬物治療環境の適正化を進めている。
また、入院中に変更となった薬剤や用法・用量、入院中の体調変化、退院後の注意事項等を、退院後に患者にかかわる職種に情報提供している。
患者家族、退院先の施設職員のみならず、ケアマネジャーやかかりつけ薬剤師等に情報を提供することで、シームレスな医療提供を目指している。

(4)在宅
 必要に応じ訪問薬剤管理指導をかかりつけ薬剤師と併走して行うことで、入院中に解決できなかった患者の問題点等の引き継ぎや解決に取り組んでいる(「在宅薬物治療への介入」)。
また、退院後も在宅スタッフと連携しながら、在宅での服薬管理をフォローする一員となっている。
また「相模原地域包括研究会」を立ち上げ、在宅スタッフとの業務連携における問題点を明確化し、解決策を提案している。

まとめ

 今回は、当院が地域包括ケア病棟に薬剤師を常駐させるに至った経緯と当病棟での薬剤師業務の概略を紹介した。
次回は、入院時、入院中、退院時、在宅の各段階でどのような業務を行っているのかを、より具体的に紹介したい。
稲葉健二郎(いなば・けんじろう)
1995年東京薬科大学薬学部製薬学科卒業、97年北海道大学大学院薬学研究科薬学専攻修士課程修了。
2012年社会福祉法人相模更生会総合相模更生病院薬剤部部長、13年医療安全管理者兼務、16年経営管理本部人事企画室副室長兼務。
医療介護CBニュース-2017年08月17日 05:00
1位 アイリスオーヤマ 手すり トイレ用 介護 サポート ホワイト TRT-64A
アイリスオーヤマ
新品/Used価格:¥6,722より
2位 ビーワーススタイル トイレ用アーム SY-21(トイレ用手すり)
ビーワーススタイル
定価:¥ 7,076(税込)
新品/Used価格:¥8,100より
3位 豊通オールライフ トイレ用品 ポータブルトイレ 排せつ物処理袋 Pee Pack2 ピーパック2 20枚入
豊通オールライフ
定価:¥ 2,160(税込)
新品/Used価格:¥1,678より